50度洗いとは、その名のとおり50度のお湯で野菜などを洗うことでしなびた野菜でも新鮮な状態に復活させるという話題の調理法です。
元々は有名レストランでひっそりと使用されていた方法なのですが、メディアでの紹介を機に一般家庭にも一気に広がりました。
そんな50度洗いの考案者は平山一政先生です。平山先生は低温スチームの研究家で、平山式低温スチーム鍋などの製品開発もされております。先生は低温スチームの研究の過程で50度洗いを発見されたそうです。
なぜ50度洗いで野菜が新鮮な状態になるのか?
お湯で洗うだけで野菜が新鮮な状態に復活するというのは不思議ですよね。これはヒートショックという現象によるもので、50度のお湯で葉の表面の気孔が開き、そこに水分が入ることで新鮮な状態に戻るというものです。
野菜は元々水洗いするのが世界的な常識とされていましたが、今回の発見によってそれが覆されたのには驚きを隠せません。
野菜だけでなく、肉や魚や果物にまで効果があり、より美味しく調理することができるのはすごい発見ですね!今回は食材別に50度洗いの目安時間もまとめていますのでそちらもご参考ください。
野菜の50度洗いのポイント

まずは基本である野菜のやり方をご紹介します。
野菜の50度洗いのメリットとしては以下の4つが挙げられます。
- しなびた野菜でも新鮮な状態になる
- 汚れや虫がよく落ち衛生的
- 野菜の甘みが増しシャキシャキで美味しく食べられる
- 保存する際にも通常よりかなり長持ちする
などなど様々なメリットがあります。
次にやり方について解説いたします。
野菜の50度洗いのやり方

1.ボールなどに熱湯を用意する。
2.熱湯を水で割り温度を調整して50度のお湯を作る
3.20~30秒を目安に洗う(野菜の種類により1~2分)
とても簡単ですね。一方注意点としては、お湯の温度が43度以下は雑菌が繁殖するのでNGです。また50度のお湯が熱い場合は菜箸やゴム手袋などを使用するようにしてください。50度といえどやけどには十分注意しましょう。
実践には特別な道具も必要なく、温度計さえあれば誰でも簡単に実践できるのがいいところですね。例えばレタスであればシャキシャキになり、甘味も増すのでより美味しく食べることができます。
50度洗いしたレタスと通常の水洗いのレタスと食べ比べてみると違いが一目瞭然でわかると思います。
次にお肉とお魚を洗う際のやり方とポイントをまとめます。
お肉とお魚の50度洗いのポイント

実践することでお肉は美味しくなり、魚は独特の臭みがなくなります。
- 肉は50度洗いしたら直ぐに調理に使う(保存はNG)
- 冷凍された肉や魚はそのまま50度洗いする
- ひき肉は溶けてしまうためNG
- 43度以下は雑菌が繁殖するためNG
野菜と違って肉や魚は保存できないので注意が必要です。50度で洗うと少し火が通ったみたいに白くなるのですが、驚いたことに時間が経つと元の色に戻ります。
冷凍保存しているものは是非50度洗いで解凍してみてください。ちょっとした手間で美味しくなるので試してみる価値はありますよ。
例えば、ぱさつきがちな鶏肉を50度洗いすると驚きの効果があります。冷凍マグロなども旨み成分が凝縮されていい感じになります。
私もまぐろで試してみたのですが、酸化した油が取れてしっとりでした。マグロの場合はお湯に30秒ほどつけた後、氷水でしめてペーパータオルで水気を拭き取るとすっきりした味わいになってイイですよ。
次に肉や魚を解凍する際のポイントをご紹介します。冷凍保存していた肉もお50度のお湯につければ速く解凍できます。解凍の時間を短縮できるのもいいところですね。
肉を50度洗いで解凍する際の注意点
- 湯温が下がるので差し湯をすること
- 半解凍を目安にお湯から出す
- ペーパータオルで水気をよく切る
魚を50度洗いで解凍する際の注意点
- 3%の塩を入れた50度のお湯に3~5分つける
- そのあと氷水でしめて水気を拭き取る
- つける時間を調節して中心部分を半解凍状態にすれば、生よりキレイに切れます
水っぽくなったり旨みが抜けないのかなと心配になるかもしれませんが、洗うといっても短時間ですので水っぽくなったり旨みが抜けるといったことはありません。
洗うことで表面の酸化した油や汚れが取れて生臭味が消えます。それによって魚本来の旨みが引き出されます。水揚げされたばかりの鮮度抜群のさかなは洗わず味わいましょう。
また50度洗いは野菜や肉・魚だけでなく果物にも効果があります。続いて果物の洗い方について解説いたします。
果物の50度洗いのポイント

イチゴやバナナ、オレンジなどがお手軽にできておすすめです。50度洗いすることで、なんと果物独特の甘味が増しより美味しく食べることができます。
- 基本的に皮ごと洗う
- 種類にもよるが時間の目安は30秒~2分以内
- 野菜と同様保存も長持ち
バナナなどは手軽に試せますので、是非実践してみてください。通常のバナナと食べ比べてしてみると違いが一目瞭然ですよ。
[adsense]代表的な食材の50度洗いの目安時間まとめ

葉菜
青じそ(30秒) | 葉が薄いため高温では変色しやすいので注意が必要です。50度よりやや低い48度くらいでさっとつけるくらいに洗う。 |
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キャベツ(1~2分) | 丸ごとは洗わない。半割りや1/4~1/8玉などにカットするか、使う分だけはがして1枚づつ洗う |
サニーレタス(1~2分) | お湯の中でザブザブと洗う。水気をとって2~3分すると、葉のハリが買った時の様にもどる |
春菊(1~2分) | よれてしなだれた葉も一枚一枚にお湯を通すように洗うとみるみる元気に。雑味とアクが抑えられる |
白菜(1~2分) | 1枚づつ洗う。葉が大きいので洗いやすい大きさに切っても。茎の部分は葉より長めにお湯につける |
ベビーリーフ(1~2分) | ざるに入れてデリケートな葉が痛まないように、優しくゆすって洗う。お湯から上げると、葉がイキイキ | ほうれん草(1~2分) | 茎のあいだにもお湯をくぐらせるようにして、ジャブジャブと洗う。葉にハリが出て緑の色が濃くなる |
水菜(1~2分) | 茎が折れないように注意して、全体をお湯につけて軽く洗う。生で食べると食感シャキシャキに |
レタス(1~2分) | 半割り、もしくは1枚ずつ洗う。消費期限まじかの見切り品でも、洗うと鮮度が蘇り、歯ごたえアップ |
果菜
おくら(1~2分) | 浮いてくるので時々手で押さえながら、表面を優しく撫で洗い。毛があるので、水分はよく取る。 |
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かぼちゃ(1~2分) | 使う分だけカットし、種を取り除いてから、お湯につけて洗う。皮は手でこすってよく洗う |
きゅうり(1~2分) | お湯につけながら皮をよく洗う。少々しなびたものでも、洗うとハリが出てみずみずしさを取り戻す |
春菊(1~2分) | よれてしなだれた葉も一枚一枚にお湯を通すように洗うとみるみる元気に。雑味とアクが抑えられる |
とうもろこし(5~6分) | 皮ごとお湯につけおく。ゆでると甘味がまして美味しくなる。 |
トマト(3~5分) | お湯をつけてしばらく置く。ヘタの緑が青々してきたら、湯から上げる。プチトマトも同じ時間で |
なす(1~2分) | 丸ごとお湯につける、浮いてきたら菜箸などで押さえて、皮のツヤがよくなり、ツルツルに。 |
ピーマン(1~2分) | ナスと同じ洗い方。50度洗いしたものは5日間、冷蔵保存しても水分量が多くみずみずしい |
豆
枝豆(2~3分) | お湯にしばらくつけたら、両手でもみ洗いして汚れを取る。さやがふっくりして緑も色鮮やかに |
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絹さや(1~2分) | お湯に入れたら軽く両手で混ぜながら洗ったり、表面をなでるように洗う |
さやいんげん(1~2分) | お湯の中にいれ、汚れが付いている部分は指でこすって洗い流す。 |
茎菜
アスパラガス(2~3分) | 茎の部分にシワがあるものでも、」お湯にそのままつけおくだけでハリを取り戻す |
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かいわれ大根(30秒~1分) | 使う分だけ根元をきり、ざるに入れてお湯につける。サッと洗ったら、お湯から上げて水気を取る |
長ネギ(1~2分) | 半分に切って、お湯につけながら洗う。50度洗い後は保存してもひからびず、味も変わりにくい |
にら(1~2分) | 全体をお湯の中に沈め、浮いてきたら軽く手で押さえながら洗う。ハリがよくなり香りも立つ。 |
もやし(1~2分) | ざるに入れておゆにさらす。お湯の中に直接入れても良い。アクや臭みが取れ、食感がよくなる |
根菜
ごぼう(3~4分) | 泥つきごぼうはお湯につけたあと、たわしで洗う。洗いごぼうは、お湯につけながら手でこすり洗い |
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にんじん(2~3分) | お湯につけながら皮を洗う。洗いごぼうは、お湯につけながら手でこすり洗い |
根しょうが(1~2分) | お湯の中で皮のまま手でこすり洗い。皮ごとおろすと香りが立つ。風味豊かになり、料理を引き立てる。 |
山芋(2~3分) | そのままお湯の中につける。50度洗いなら、手にかゆみが出ず、粘りも強くなる |
きのこ
エリンギ(1~2分) | 手で押さえながら、お湯につけて洗う。きのこは洗い終わったら、特に水気をよく取るようにする。 |
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しいたけ(1~2分) | 石づきを取り、お湯の中で振るように洗う。かさの色が濃くなり、ふっくらプリプリになる |
しめじ(1~2分) | 石づきは切らずに、かさと軸の部分をゆらすように洗う。全体がふくらみ、かさはツルツルに |
果物
いちご(1~2分) | 手で混ぜるように洗う。皮をむかずに食べるものに50度洗いはより適しています |
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いちじく(1~2分) | お湯の中にしばらくつける。甘さが増して美味しくなる。 |
オレンジ(3分~4分) | 全体がほんのり温かくなるまでつける。浮かんできたら、手で押さえて。みかんも同様に。 |
柿(2~3分) | 丸ごとつけ置きする。お湯の中で熟成するような効果があるので、甘くなる。渋みも減ります。 |
キウイ(2~3分) | お湯につけ置きする。うぶ毛があるので水気をよく切る。味がまろやかに |
バナナ(4~5分) | 皮のままお湯につける。黒い斑点が出にくくなり日持ちする。甘さも増す |
りんご(2~3分) | お湯につけ置き。50度洗いすると皮の汚れもキレイになるので、丸ごと安心して食べられる |
鶏肉
ささ身(1~2分) | 表面を軽く洗い流してから1分ほどつけおく。脂肪がほとんどないので、洗う時間は短めで良い。 |
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手羽先(2~3分) | 脂肪分の多い皮を軽くなでて汚れを落としてからつけおく。お湯から上げるとふっくらする |
ひき肉(30秒~1分) | ざるに入れて、お湯の中でほぐして洗う。肉団子やつくねのように形成する料理には不向き |
胸肉(2~3分) | 脂肪や皮を指で軽くこすり洗いしてからつけおく。洗ったあとは表面が白っぽくなるが色は元に戻る |
レバー(2~3分) | 切りながら血を取り除いたあと、ざるに入れてお湯につけおく。軽く水気を拭き取る。 |
豚肉
スペアリブ(2~3分) | お湯の中で脂肪を中心に表面を軽く洗い流してからつけおく。 |
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ヒレブロック(2~3分) | ヒレカツ用のかたまり肉は表面をなでるように洗ってつけおく。他の部位のブロックも同様に。 |
バラ肉薄切り(1~2分) | 菜箸で一枚ずつほぐすようにお湯にいれ、しゃぶしゃぶの要領でくぐらせる |
ロース厚切り(1~2分) | とんかつ用のロースは表面をなでるように洗ってつけおく。アクや雑味がとれる。 |
ロース薄切り(1~2分) | バラ肉薄切りと同様にしゃぶしゃぶの要領でお湯にくぐらせる。もも肉薄切りなども同様。 |
牛肉
カレー用ブロック(2~3分 | サイコロ用のカレー用ブロックは、ざるに入れて少しお湯に付け、一個ずつ指で軽く洗う |
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切り落とし(1~2分) | くっついたままお湯にいれ、菜箸でほぐして一枚ずつしゃぶしゃぶの要領で洗う |
ステーキ用サーロイン(2~3分) | 表面をなでるように洗ってつけ置く。アクや雑味がとれる |
ロース薄切り(1~2分) | 菜箸で1枚ずつほぐすようにお湯にいれ、しゃぶしゃぶの要領で洗う。ほかの部位の薄切りも同様に |
一尾
あじ(2~3分) | 塩焼きなどにするあじは、ぜいごやはらわたを取り除いたあと、お湯につけて腹の中や皮をあらう |
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いわし(2~3分) | 頭とはらわたを除いたあとか手開きにしたあと、お湯につけて汚れを落とす |
さんま(2~3分) | 全体をなでるようにして、汚れや脂を洗い流す。かれいなど、さばかずに調理するほかの魚も同様に |
切り身
さば(2~3分) | 皮と骨周辺を中心にこすって、脂と血をきれいに洗い流してつけおく。生臭味が消える |
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塩鮭(2~3分) | 皮目の汚れやウロコを取り除くように洗ってつけ置く。焼いて食べると身はふんわり、しっとり |
ぶり(2~3分) | 脂と血をきれいに洗い流してつけ置く。中でもアラは水洗いよりも汚れが落ち50度洗いが効果的 |
刺身
マグロに切り身(30秒) | 重ならないようにざるに並べ、お湯を均等に回しかける。裏返して同じように回しかける |
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まぐろのさく(30秒) | お湯につけた後、氷水でしめて水気をよく拭き取る。身が崩れないようていねいに扱う |
サーモンの切り身(30秒) | ざるに並べ、お湯を均等に回しかける。表面が少し白くなるが、すぐに色は戻る。裏側も同様に |
ほたて貝柱(30秒) | ざるに並べて表と裏にお湯を均等にサッと回しかけ、ペーパータオルでやさしく水気を拭き取る |
冷凍まぐろのさく(3~5分) | 3%(海水と同程度)の塩を入れたお湯に凍ったままの状態でつけた後、氷水でしめ水気を取る |
貝柱など
あさり(3~5分) | お湯につけるとすぐに口が開いて汚れや砂を吐く。口が開いたら湯温が下がっても差し湯は不要になる |
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いか(1~2分) | 手でさばいた後お湯につけ、胴の中の汚れを洗う |
えび(1~2分) | エビフライにする場合などは、頭と殻を取ってから洗う。冷凍エビの解凍はお湯につけて軽く揉む |
冷凍やりいか(5分~6分) | 凍ったままの状態で、お湯につけ置く。解凍できるのと同時に身がプリプリに。 |
干物
アジの開き(1~2分) | 軽くなでるように洗い、水気を取る。ほっけ、いぼ鯛などの開きも同様に。 |
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めざし(1~2分) | 皮が弱く剥けやすいので、ざるに並べて静かにお湯に沈める。ペーパータオルで軽く水気を取る |
出典:著:平山一政『50℃洗い ボウルに入れて50℃が計れるカード式温度計付き (小学館実用シリーズ) 』小学館 (2012/6/27)
○まとめ
50度洗いの考案者の平山一政先生は低温スチームの研究家だということは冒頭でも紹介いたしました。
低温スチームと50度洗いの違いについて調べてみたのですが、低温スチームとは野菜の種類により適正な温度があり、スチーム温度を下げて加熱すると、アクが取れたり、旨みが凝縮したりより美味しくなるというものです。
野菜の鮮度や旨みを向上させる効果のある低温スチームですが唯一弱点がありました。
それは野菜の汚れを落とすことができず、事前に水洗いを必要としていました。そこで水洗いを50度前後のお湯で素早く洗うように変更したところ50度洗いという手法を発見してしまったそうです。
低温スチームの弱点を克服させてしまったのが50度洗いなんですね。温度計さえあればご家庭でも簡単に実践できますので是非試してみて下さい。
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